イチオシ~ その1
「阿部昭18の短篇」阿部昭著
著者の自選になる短篇集です。
執筆順に並べてあり、その期間は二十年にわたっているので、おのずから作者の家族などの変化と共に、作者自身の考え方の変化なども伝えられて、興味は尽きません。
二番目にある「明治四十二年夏」は、いかにも三十代に書いたと思われる、力量感あふれる好短篇です。
職業軍人であった父の死後、父の中学時代の友人から、追悼の手紙が寄せられる。
それは、東京の四人の中学生が群馬県の妙義山から浅間山へ旅行する話です。
一人が途中で銭入を落としたために、皆で商人宿に泊まったり、前橋まで歩いたりして苦労した、という手紙だった。