イチオシ~ その7
「夢うつつの記」円地文子著
やがて著者は、新聞記者の円地与四松と結婚しまする。
あまり気に入った相手でもなかったが、「私がずるずると引き摺られていった」といいます。
つまり現状を打破したい思いと、現状のままに生きたいという相反する思いが半々にあったような状況のまま周囲に引き摺られて結婚した、ということか。
この結婚については更にこう書き続けられます。
いえ「彼はその頃私が父の家の娘で持参金などもかなり持って来るであろうと、そんなことを考えのなかに入れてこの縁談をまとめたかったのだと思う。
そういっても彼自身が不誠実なばかりの男でなかったことはたしかです。
結婚を餌にしてペテンにかけたのは私の方だったと思う。
彼と結婚して私はともかく四十年以上の間、しっくりしないなりに生活を続けてきたのである」